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  • 執筆者の写真Tsunehisa Araiso

~常識とは? フィンランドの太陽~

更新日:2023年5月13日

こんにちは、ラテラCTOの荒磯恒久です。

もう30年も前になりますが、5月にフィンランドのオウルという町を始めて訪れたときのことです。北緯65度のこの町は、ノキアが本社を置き世界の注目を集めていました。実は産学官連携によるテクノポリスが典型的に機能していて、私は8人から成る視察団の一員でした。午後に到着し夕方から始まる交流会の時間調整のためホテルの2階にある、窓の広いレストランで2時間ほど過ごすことになりました。周りは白樺の林に囲まれ、太陽は木立の間から光を投げかけていました。雑談をしながら時間つぶしをしていたのですが1時間以上たってから、ある大学の教授が「さっきから太陽が動いていない!」と驚いた様子で話し始めました。確かに到着した時から同じ高さでした。

北極圏に近いこの地で、しかも5月、太陽は昇って沈むのではなく、北から斜めに上がり東、南、西と我々の周りを「回って」いたのです。高さはほぼ変わりません。中緯度から低緯度に住む我々には太陽は昇って沈むもの、動きは高さの変化と思い込んでいただけだったのです。


フィンランドの白樺林を横切る深夜の太陽

私は地球上では誰が見ても天体の動きは同じだと、特に意識もせず思っていたのです。しかし、この瞬間自分の浅はかさに少なからずショックを受けました。太陽は高緯度に住む人には横に動くものだったのです。「常識とはこんなものか!」と強く感じたことが忘れられません。オウルの太陽は、初めて来た日本人が何を考えようがお構いなしに、時間と共に赤みを増しながら悠然と白樺の木々を横切っていました。

「常識を疑え」などと紋切り型で浅薄なことをいうつもりは毛頭ありません。ただ、自分が知っていることは、本当に世の中のごく一部だなぁと、いつも思うようにしています。

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