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執筆者の写真Tsunehisa Araiso

無菌人工土壌を作る  ―根に喜んでほしい―

更新日:2月10日




無菌人工土壌で育った白カブ


土こそ、母なる大地の基盤だ。我々はこの大地の持つ恵に包まれ、人間としての意識を形成してきた。土の恵みは常識となり、当たり前のことになった。

無菌人工土壌は、我々が土に対して無意識に持っている常識を超えるものを持っている。だから様々な質問が寄せられる。

・無菌で植物が育つのか?

・無機で育てた野菜は味が無いのではないか?

無菌人工土壌のアイディアを最初に考え出したのは㈱ラテラ社長の荒磯慎也。何を隠そう私の息子である。彼の目標は高齢者施設でも使える衛生的な土を作ること。彼の情熱に私も長年蓄えてきた植物生理学の知識と、大学産学連携部署で聞きかじった農業や肥料の話を思い出して一緒に考えた。

植物は何を欲しがっているのだろう? 光と二酸化炭素は葉が必要とするものだ。土は、根の欲しがっているものに応えるべきだ。そう考えると解答はすらすらと出てくる。根を張り植物体を支えることができ、根は水と空気と常に接触して、根の周りの水には適量の肥料(根が吸収できる無機物質の形のもの)がいつも一定の量(あまり多くなく)溶け込んでいればきっと根は喜ぶ。

そんな性質を持つものは、多孔質の鉱物で肥料物質を吸着・放出を繰り返すことができて、水と空気が通る隙間を作れるくらいの大きさのものだろう。そんな性質を持つ鉱石顆粒を探して、早速無菌人工土壌を作ってカブの種を播いた。園芸店から培養土を買ってきて同じ種を播いて比べてみた。何と、どちらも同じように育つではないか! 根は喜んでくれたのだ。

写真は白カブ。成長したカブを食べるのはちょっと可哀そうでもあったが味噌汁の具にして味を見た。 やわらかい! 甘い!

それは無菌人工土壌で、味をしっかり持つ野菜が育つことが分かった瞬間であった。

無菌人工土壌は植物生理学的に考えると育った野菜に味も香りも出ることは予想されることだった。しかし、実際に育てて、食べて、初めて実感が湧く。百聞は一見にしかず、ではなく一食にしかずということか。

では、なぜ植物は育つが菌や虫は育たないのか、次のブログで考えることとしよう。

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