こんにちは、ラテラCTOの荒磯恒久です。
もう30年も前になりますが、5月にフィンランドのオウルという町を始めて訪れたときのことです。北緯65度のこの町は、ノキアが本社を置き世界の注目を集めていました。実は産学官連携によるテクノポリスが典型的に機能していて、私は8人から成る視察団の一員でした。午後に到着し夕方から始まる交流会の時間調整のためホテルの2階にある、窓の広いレストランで2時間ほど過ごすことになりました。周りは白樺の林に囲まれ、太陽は木立の間から光を投げかけていました。雑談をしながら時間つぶしをしていたのですが1時間以上たってから、ある大学の教授が「さっきから太陽が動いていない!」と驚いた様子で話し始めました。確かに到着した時から同じ高さでした。
北極圏に近いこの地で、しかも5月、太陽は昇って沈むのではなく、北から斜めに上がり東、南、西と我々の周りを「回って」いたのです。高さはほぼ変わりません。中緯度から低緯度に住む我々には太陽は昇って沈むもの、動きは高さの変化と思い込んでいただけだったのです。

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